作り出すことを楽しみ、人に伝えること(制作編)

森が非常勤講師をしている赤塚美容・デザイン専門学校Webデザインコースの学生に出した課題を自分でもやってみた、という話の続きです。前回は準備編でした。では制作編をどうぞ。

制作

理論だった創作折り紙の経験はなかったので、書籍にあたってみるかと思いましたが、図書館はゴールデンウィーク中は閉館中。
あんまり学ぶのに時間をかけてもな、と思って、手を動かし始めました。

あれこれ折りながら最初にできあがったのがこれ。

…異形のモノ感が強すぎる。髪の毛が大き過ぎ。
角(カド)を作り出すベースは変わらないけど、形をもう少し受け入れやすくするために

  • 折り紙上の上半身・下半身の面積を半々にする
  • 足の長さを揃える
  • 足を細くせず、体を細くする
  • 頭と髪をわかりやすくする

という調整をしたのがこれ。

それっぽくなってきたけどさらに

  • 髪の長さを抑える
  • 髪のボリュームを抑える

という調整をしたのがこれ。

さらに、体を細くしてみたのがこれ。細くしすぎたようす。

最終的に胴体の下から上に向かって細く絞る形に落ち着きました。

正直アマビエかなあ…というところもありつつ、ユニークで疫病収束の祈りを担ってくれそうな形になってると思います(妖怪だから神様のような形とは言いづらい😅)。

折り図

そしてここで問題が1つ浮上。折り図。筑波大学の三谷純教授が折紙関連ソフトウェアのリストを公開されているのですが、当然のことながら使うのにはある程度習熟が必要なようで、ここが一番の難関となりました。

Adobe Illustratorを使うか…それもなかなか手がかかる。
手書き…うまく書ける自信はない。
ということで図というか折る順番に写真を並べるのがおそらく手が掛からないと考えました。

さらに問題が1つ。折り方をシンプルに示すこと。

これはあやふやなポイント同士を結ぶ折り方ではなく、はっきりしたポイント同士で折るようにまとめる必要があります。
創造する思考ではなく、まとめる思考ってこと。
どっちも折り紙には欠かせないことがものすごくよく分かりました。

さて折り図(写真)は下記です。お楽しみください。

1. 色のついた面を表にします2. 対角線に谷折り3. 裏返して縦と横に谷折り
4. 真ん中の折り線で左に谷折りしたあとで、右下のカドを斜め線に向かって谷折り5. 左下のカドを4で折った部分を軸に谷折り6.下のカドを5で折った部分の上辺に合わせて谷折り
7. いったん全部開きます8. 左下と右下のカドをすでについている折り目で谷折り9. 両側を8で折った部分の先端に合わせて谷折り
10. すでに折った線を使って3つのカドを作りながら12の形に折りたたんでいきます11. 折りたたみ中12. 折りたたみ完了
13. 折りたたんだ上の2枚を開いて折りたたみます14. 折りたたみ完了15. 裏返します
16. 手前の2枚を中央の線に向けて谷折り。上の方が真ん中の線に近くなるように折ると折り上がりがきれいになります17. 左右の上側のカドを結ぶ線で谷折り18. 裏返します
19. 左側を16で折った線の少し内側と下の線に合わながら谷折り19’. 16で折った線の少し内側で折るので少しはみ出ます20. 19で折った部分の左上と右下の対角線を谷折り
21. 裏返して、20で折った線を縦線に沿わせるように折ります22. 16で折った部分の内側の線に添わせて右側の紙を谷折り23. 左側も18〜22と同様に折ります
24. 裏返して、下に出ている三角の部分を上に折ります25. 裏返します26. 両側の紙をいったん開きます
27. 24で折った三角の部分をこちら側に折り上げます28. 下側に白く出ている三角が見えないように谷折り28’. 下から見るとこのようにみえます。
29. 両端をすでに22で折った線に沿わせて谷折り30. 22で折った線で谷折り31. 上部の下に尖ってる部分を折り上げます
32. 下部を押さえながら上部の折りたたまれた部分を引き出します33. 下から指を入れて膨らませることで立体的に仕上げます34. 完成

シンプルな形なのでアレンジは自由にしてみてください。
千羽鶴に表れるように日本で「折る」は「祈る」にも通じることなので、新型コロナウイルスの早い収束への祈りも込めていただければ幸いです。

作り終わってみて

この記事を作ったことで結局自分も「作り出すことを楽しみ、人に伝えること」について考えることになり、とても勉強になりました。「作り出すことを楽しみ、人に伝えること」は創造する思考とまとめる思考が必要で、どちらも創意工夫の余地がたくさんある行為でした。

森はずっと折り図を見ながら折ってきましたが、折り図を作るのは職人仕事で、折り紙は折り図を通した「作り出すことを楽しみ、人に伝える」文化そのものだと分かりました。

この記事を読んでくださった方が「作り出すことを楽しみ、人に伝えること」を楽しんでいただけたら幸いです。
そして、生徒が何を作ってどんな記事を作ってくるかが楽しみです。

ここまで記事を読んでくださりどうもありがとうございました!


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2020年6月25日blog